これまで日本の入国時に求められてきた各種の書類は2023年のGWをもって不要となりました。

マウンテンゴリラ@ルワンダ(再掲)

旅の醍醐味は未知の場所に足を踏み入れた時に感じる驚きや違和感であると信じて疑わない私ですが、今回目にした大自然や雨中の苦労はまさに自分の中でギネス級でした(初出2014年)。

ゴリラとは.

gorilla世界中にいる霊長類(サル目)の中でも人間のように尻尾を失ったグループは類人猿と呼ばれ、なかでもオランウータン、チンパンジー、ゴリラは高い知能が特徴だそうで僕らとDNAの構成は最低でも98%まで同じだそうです。分類学ではゴリラは地域によって3つの亜種に分けられていて、最も数が少ないマウンテンゴリラ亜種は現在のところウガンダの一部に四百頭、別の四百頭がウガンダに加えてルワンダとコンゴにまたがった保護区に散らばって暮らすだけになりました。

ゴリラ前夜.

IMG_9488_midコンゴは許可証が安いものの情勢に不安が残り、ウガンダは首都からゴリラの森まで10時間もかかるので今回はルワンダを選びました。首都のキガリからコンゴとの国境に接する保護区までは快適な3時間のドライブ。通常はキニギという集落にあるロッジの一軒に前泊し、翌日のゴリラサファリの後も同じ宿にもう一泊しますが、理論上はキガリを早朝4時半に出発してキガリに戻る「日帰り弾丸ツアー」も可能な距離です。

全員集合.

park_HQ10泊まった宿が安かろうと高かろうと、飯がうまかろうとまずかろうと、ゴリラサファリの参加者は当日の朝7時までにキニギにある公園管理局の本部(写真)に集合しなくてはいけません。本人確認があるのでパスポートを持参しましょう。自分が会いに行くゴリラの群れは当日の朝に公平に割当てられます。高齢または歩行に不安がある場合は事前に旅行会社を通じて伝えておきましょう。ちなみに風邪っぴきだと参加を拒否されることもあるので旅行前は体調管理に十分注意してください。

8名限定.

IMG_0177自然環境とゴリラへのストレスを軽減するためゴリラの一家族に面会を許されるのは8名まで。出発前にはこの日同行してくれるレンジャーに促されて幸運な8名がお互いに自己紹介をします。この人数制限の許可証はホリデーシーズンの6月から9月には一年前から売り切れになることもあるそうですから計画はお早めに。ちなみに森には早朝からゴリラの居場所を探すことを生業にする「トラッカー」が入っていて、我々の到着前にあたりをつけておいてくれるのでむやみやたらに歩かされることはありません。

IMG_0180レンジャーさんを伴っていよいよジャングルへ向かいます。車で入れる最後の場所に駐車場とトイレ、ポーターの詰め所があり、そこからは農作業中の一般のルワンダ人が見つめるなか観光客は一列になって畑のあぜ道を歩いて行きます。この詰め所で無料でレンタルできる木製の杖は後で大いに役立ちますし、有料ですが自分専用のポーターさんを雇うと(約10ドル)崖やぬかるみで非常に心強い助っ人となってくれるのでお勧めです。

森に入る装備.

IMG_0185標高2600~3000メートルの冷涼な山を歩くので雨対策はおおげさなくらいがちょうどいいです。上下が別になったゴアテックスなど撥水生地の合羽かスラックスがお勧めで、足元はトレッキングシューズかいっそ長靴でもいいでしょう。トゲのある葉っぱが多いので軍手もいるし、噛まれると痛む蟻もそこらじゅうにいるので足首を包むゲーターも欲しいところです。リュックサックには水筒、雨具、おやつを入れます。

苦労の末に.

205_0001_31カメラは濡れることが前提になります。一眼レフなら本体部分をシャワーキャップなどで覆ってしまいます。ゴリラとの距離は規定では7メートルを保つことになっていますがあちらから近づいてくることも多いので望遠レンズは不要です。肉眼で表情や目玉の動きが見えるまで近づけます。群れに出会ってからはレンジャーがきっかり一時間を腕時計で計り、終了後は山の急斜面を転ぶように下山します。

park_HQ8入山前の管理本部ではゴリラの家系図が売られています。顔つきなどは親子はもちろん親戚同士でも似ていますから、自分の出会うグループについて予習をしてから参加すると楽しみは何倍にもなるでしょう。私が今回遭遇したのは二頭のシルバーバックに率いられたUmubanoグループで、最年少は四歳のIjaboちゃんでした。子供のほうが好奇心があるのかカメラ目線をくれることが多かったです。毎年6月には名づけイベントが盛大に行われるそうです。

ゴリラ後は.

IMG_168今回は宿に戻ってきたのが四時と非常に遅くなりました。泥だらけになったシューズや雨具はホテルのスタッフが洗ってくれるので任せてしまいましょう。遅めのランチ後はロビーにある暖炉の周りに集まってビール片手に自分が撮って来た写真の自慢大会。旅の楽しみのクライマックスと言ってもいい時間になります。

ゴリラの未来.

IMG_9483現在のルワンダについて考察するときにはいつでも20年前の悲劇まで立ち返って、全てはそこから再スタートしたという事実を確認してからの作業とならざるを得ません。道沿いに立って車内の僕らに手を振る子供達は間違いなく「戦後」生まれ。ツチ族なのかフツ族なのかは一見分かりませんし、親は被害者なのか加害者側だったのかも分かりませんが、日々目にする観光客が喜びいっぱいで山から下りてくる様子や近所のお兄ちゃんがゴリラツアーのポーターになってそこそこ稼いでいる事実を目にしながら健やかに成長して行って欲しいし、将来は自然保護と観光の両立という難しいテーマにどんなレベルでもいいから携わってくれたらいいな、という期待を胸に私は森を後にしたのです。

Was there on 2014-04-19