旅行者にたまに聞かれるんです、マサイマラからセレンゲティに直接行けないかって。両公園にまたがるゲートは60年代に両国がケンカ別れをしてから閉鎖したまま。でも遠回りにはなりますが実現可能なルートを今回ご紹介します(初出2011年)。
西マサイマラ~ンダバカ.
ケニアからセレンゲティへ半日で移動したいならまずスタート地点をマサイマラ西部にしておきます。オローロロゲートの近くのオロナナかムパタなんか最適ですね。早めの朝食を取った後はひたすら畑と山道を走ります。この道は雨季なんか最悪になります。昼には国境の町イセバニャに着けるので出国手続きを済ませましょう。ランチの時間は取れないので車中でお弁当となります。
タンザニアに入ってからは舗装道路を西へ向けてどんどん飛ばします。3時半にセレンゲティの西の外れのゲート、ンダバカに着きました。ここから一番近い都市はビクトリア湖畔のムワンザですから遠くへ来たことを実感します。ウェスタン・コリドーと呼ばれるこのエリアにはキラウィラなど高級テントロッジが多く集まりますが、今晩の私の宿まではゲートから更に150キロもあったので先を急ぎました。
一泊目:セロネラワイルドライフ.
このロッジは元国営だけあって動物の集まるセロネラ地区の、さらに眺めが素晴らしい岩山のてっぺんに作られています。本来の石組みを崩さずに逆に取り入れた珍しいデザインのレストランとバーはそれだけで泊まる価値があります。敷地内に棲むハイラックスの可愛さもポイントアップです。
立ち寄り:ロボワイルドライフ.
朝食後は北部へ向けて出発、マサイマラと接する「ロボ」と呼ばれる地域を視察するためでした。いつかケニアから直接セレンゲティに入れる時代が来たならばこのエリアにブームが訪れるはず。マサイマラのキーコロックロッジまでそれほど遠くないからです。手ごろな宿は前夜と同じ系列のワイルドライフロッジが一軒しかありません。この宿からの眺めは平坦で見通しがきく点でセロネラ以上と断言できます。
ヌーヌーヌー.
12月はヌーがケニアから南下するタイミングだったようで至るところできちんと一列に並んで行進する群れを見かけました。彼らは数ヶ月後にはンゴロンゴロとの境界辺りで大集合して同時出産のドラマを我々に見せてくれるのです。子供が長距離移動について来れるようになったらこれらのヌー達はウェスタン・コリドーへ向かい、その後マサイマラへビザ無しで侵入します。
二泊目:ムブズィマウェ.
本日の宿は大きな岩山の麓に作られたセレナ系列のちょっとだけ高級なテントロッジ。スワヒリ語でイワヤギの名を持つだけに近くにクリップスプリンガーが多く棲むそうですが私は滞在中には見かけませんでした。昨日のセロネラロッジから少しだけ北にあり、バルーンサファリにも参加できます。
テント内はかなり広くて床はタイル張り。シンクは二つあるので忙しい朝でもカップルの間で喧嘩にならないでしょう。室内電話までありました。部屋数が少ないので夕食はキャンドルの灯を眺めながらプレートサービスが楽しめます。翌朝コーヒーを頼んだら銀色のポットにひとり分を持ってきてくれました。余裕のあるサービスが嬉しいですね。
岩山コピェ.
セレンゲティと聞くとまず大平原を思い浮かべますが、ところどころにコピェと呼ばれる岩の塊が地平線から頭を突き出すようにそびえています。オランダ語由来であるコピェは単調な草原に比べて動植物の集まる密度が高いそうです。てっぺんに登る場合は毒ヘビに注意してください。
二月はンドゥトゥ.
3日目はンゴロンゴロへ向かう前にンドゥトゥ湖に立ち寄りました。この辺りはちょうどセレンゲティの端っこにあたり監視の目も少ないので道路を外れてゲームドライブができます。1月から2月にヌーの大群の集合場所にもなっています。周囲は暑くて乾燥していて宿は一軒しかありません。
その名もストレートなンドゥトゥ・ロッジはフラミンゴの棲む湖を遠くに見る立地で宿泊棟はシャワーだけのシンプルな構造。夜も寝るだけです。それでも2月にはアメリカを始め世界各地からバズーカ砲のようなレンズを装着した「カメラおじさん」が大挙押し寄せ、中には一ヶ月以上滞在する人もいるそうです。実際、来年の空きを確認する為に電話したら結構な日付が埋っていてショックを受けたことがあります。旅の計画はお早めに。
Was there on 2010-12-11