これまで日本の入国時に求められてきた各種の書類は2023年のGWをもって不要となりました。

ンゴロンゴロのクレーターに建つホテル

アフリカ行きを検討し始めると嫌でも目に入って来る面白ワードがンゴロンゴロではないでしょうか?広義ではセレンゲティと西側で接する広大な保全区を指しますが、旅行で訪れる場合は深さ700メートルもあるカルデラの底で行うサファリと同義語になるでしょう。295ドルという高額な特別入場料がネックとなり普通のツアーだとクレーターには一回しか入りません。となると朝か晩にクレーターを外から眺める時間だけでも確保したいと思うのが人情ですが、敷地からあの巨大な穴ぼこが視界に入るホテルはたったの4軒しかない、という事実はほとんど知られていません。本稿ではその全部を料金の安い順に、あの世界最大の口コミ旅行サイトよりは役に立つ形で紹介していきます。ちなみに上の写真を撮った場所はブログの最後に記してあるので最後までお読みください。

01: ワイルドライフ・ロッジ

ンゴロンゴロのカルデラは直径が20キロもあるので尾根からカバやフラミンゴが棲む底の部分までの高低差は場所によって様々。このワイルドライフロッジは向こう側が見えないくらい急峻な崖際に建っていて、さらにどのロッジにも備わっていないオープンエアーのテラス席を持つ点で抜きん出ています。朝食前に(霧がかかっていることがほとんどですが)コーヒーを片手に、あるいは夕暮れ時にビールを飲みつつこのテラスに立てば他の宿では決して味わえない優雅な時間を過ごせます。

建物はクレーターに面して作られていて、客室の片側もガラス張りになってはいるものの、上述のテラスからの眺望には遥かに及びません。室内は山小屋のように狭く、設備も最低限のものしか備わっていないのは、このホテルが政府の所有としてスタートした経緯のせいでしょう。でも民営化されて数十年も経っているのに空調がいまだに修理されない理由は不明。。繁忙期である二月の公示価格は三食付きで一部屋あたり728ドル 。眺望の良さが全ての不満を吹き飛ばしてくれる宿と言え、私の両親がタンザニアにもし遊びに来たなら泊まってもらいたいです。

02: ソパ・ロッジ

クレーターは上から見ると東西方向に長細い楕円形をしていて、その東側にぽつんと一軒だけあるのがソパロッジ。夕暮れ時、反対側の外輪山の向こうに太陽が沈んでゆく光景は神々しささえ覚えるでしょう。近所に宿がないのでクレーターへ降りる際に使う道路が空いていて、また戻って来る時も同じ道を使うことが許されています(他の宿は上りと下りの専用道路を共用)。眺望に関してですが、このあたりの斜面はカルデラの底までの角度が緩いので迫力に欠けると個人的には思います。公示価格は842ドル。

客室は他国にある姉妹ホテルと同様にかなり広め。屋外プールはあるものの標高2,000メートルの気候を考えると活躍する場面は少ないでしょう。マニャラ湖とセレンゲティをつなぐ幹線道路からソパロッジに泊まる人達だけが右折し、そこから鬱蒼とした森を21キロ走ってやっと到着できるアクセスの悪さ。細かいことを言えばそこがちょっと気にはなります。ほとんどの部屋はクレーターに面していますが数室あるシングルルームだけは通路の裏にあって繁忙期には実際にお客を泊めるらしいので、この部屋に当たったら最悪です。普通は添乗員にしか使わないそうです。

03: セレナ・ロッジ

このセレナロッジのロケーションは最初に挙げたワイルドライフとほぼ同じで、特に雨期になるとクレーターの東部に出現するマガディ湖が大きく見える点でも優れています。ンゴロンゴロを神様が創った楽園と形容することも多いですが、この湖があるエリアは特にエデンの園って感じが出ています。メイン道路からも近いので昼食に立寄る時にも重宝します。ただしベストな眺望はレストランからのもので、夜の冷気を防ぐためなのかガラスで遮られているでワイルドライフみたいな解放感はありません。

客室はシンプルで必要なものは揃っています。シャワーとトイレのエリアは3年前の改装を経てモダンになりました。特に珍しい設備は広いベランダで、眺望の良いお部屋に当たったのならクレーターを見ながらゆっくり過ごせます。繁忙期の公示価格は826ドルなので決して安くはありませんが、全ての特徴がバランス良く揃っている宿と言えるでしょう。時折あまり人気の無い姉妹ホテル(アルーシャとかセレンゲティにある)との抱き合わせ販売を強要される点だけが旅行者の視点からするとデメリットかもしれません。

04: クレーター・ロッジ by &Beyond

300万年前に造られた絶景を前に、寝る食う以上の特別感をステイに加えたいと考える人々にはこちらのホテルがお勧めです。それぞれ12室で構成される各ブロックは北、南、ツリーの3つに分けられ、お互いが顔を合わせることはありません。1997年にイタリア人建築家とインテリアデザイナーの夢をいっぱいに詰めてスタートしたクレーターロッジでは今なお伝説が生まれ続けています。食堂ではごてごてしたバロック調の内装に圧倒されますし、食事後に自室に戻ればビクトリア時代を想起させる重厚な家具と花びらの浮いたバスタブがお出迎え。スタジオ・ジブリの作品に出てきそうな外観もフォトジェニックです。

立地はワイルドライフのような急峻な場所では無くクレーターへ向かってなだらかに下って行く丘で、ソパロッジに似た広い芝生のお庭と相まって解放感があります。毎夕レストランの外に準備されるカナッペとドリンクバーで満腹にならないよう注意しないとディナーを前に眠くなってしまいます。翌朝はこんなデッキに果物いっぱいの朝食が並んでいたらどんな気分でしょう?ネックは値段だけで、通常期の一室あたりの公示価格は驚きの3,201ドル!三泊したら100万円ですね。。

おまけ: ライノ・ロッジ

外輪山の尾根に沿った道路からそれほど離れてはいないものの、惜しいことにクレーターとは逆方向の斜面に建っているのがこのライノ・ロッジ。壁がポップに塗られてはいますが元々は公園レンジャーの宿舎だった場所なので豪華さを求めるほうが間違いです。クレーターへ降りる道路にも近いので早朝サファリを一番乗りでスタートさせたい人には向いていますし、コスパが良い宿として定評があることはほとんど毎日満室である事実を持ってすれば明らかです。費用と眺望の間に折り合いをつけられた人にはお勧めで、一泊あたり411ドルです(2019年価格)。

まとめ

ここまで読んでトリップアドバイザーより参考になったと感じてくれた人がいたなら幸いです。リストの④は予算次第で候補からすぐに外れるでしょうし、きれいなホテルしか泊まったことが無い方にはワイルドライフとライノは厳しいかもしれません。最後になりますが冒頭の写真はクレーターロッジのレストランをちょっと出たところにあるテラスから撮った景色です。