マサイマラの北部には、マサイ族を始めとする地権者と観光業者とが合意の下で運営する私営保護区が多数あります。その一つであるマラノースには高級ホテルが5軒あり、スイスのホテルグループが2015年頃まで所有していたのがマラ・リアンタです。その後は経営が地元のネプチューン・グループに移ったものの、食事の美味しさなどは引き継がれています。場所がいわゆる“マサイマラ”ではないため、満喫するためのヒントも併せた宿泊レポートをお送りします。
広々としたテント
20棟ある客室は全てマサイマラの南北を流れるマラ川に沿って建っていますが、土手を少し上がった位置にあるため部屋から川面までは見えません。今年5月にマラ川の支流にあたるタレック川が決壊して10以上のホテルが水浸しになったことを考えると、賢明なデザインかもしれません。客室内部はテントと呼ぶには語弊があるくらい広々しています。
テントと呼ぶべきではないと思う特徴のひとつが浴室エリアの雰囲気です。高そうな木材が贅沢に使われていて、シンクはダブルなので朝の身支度時にもケンカにならないでしょう。特にマサイマラ唯一と思えるのが洗面所とトイレを隔てるドアの存在で、他の高級テントでも見かけた記憶がありません。友達同士はもちろん家族で泊まる時にも気になりませんね。
このキャンプをさらに特徴づけている点として、地上からの高さを思いっきり設けた高床式のデザインと、テントの横幅いっぱいに伸ばしてあるデッキの広さがあります。普段は読書をしたりタバコを一服したりするのに便利な一組のチェアーとテーブルが置いてありますが、ダイニングルームのある共同テントでの食事に飽きた場合、この広いデッキに夕食を運んでもらい、二人だけのプライベートキャンドルディナーを楽しむことも可能です。このディナーを目的にマラリアンタを選ぶ人がいても不思議ではないくらいです。
待ち遠しい料理
食事前には共同テントにあるバーでお酒や各種のソフトドリンクを無料で飲めます。アフリカの強い日差しと大地を駆ける風に疲れを感じたならば、冷えた一杯のビールは最高の癒しとなります。リラックスした雰囲気のバーでバーマンからお酒を受け取り、川沿いにくべられたキャンプファイヤーの周りへ移動し、食事が運ばれるまでのひと時を過ごす。。サイコーですね!
ホスピタリティの先進地であるスイスの流れを組むためなのか、食事は毎回盛り付けから凝っていて、滞在中の楽しみの大きな部分を占めていました。まさにアフリカの大草原に居ながらにして、お皿を舞台とした世界各国の料理が上演される、という感じです。この日のランチは牛肉の串焼きとサフランライス。写真には収めませんでしたが、デザートは自家製のストロベリーアイスでした。
ゲームドライブについて
冒頭にも書きましたが、このキャンプはマラノース私営保護区にあるため、朝晩のゲームドライブは基本的にマラノースの敷地内で行い、外部からの”一見さん”は侵入してこないことからゆったりと動物観察や写真撮影が行えます。ただし、マラノースを流れるマラ川の流域は上流にあたり、マラセレナがある下流とは異なるため、ヌーの川渡りが見られることはほとんどありません。7~10月に川渡りが目的であれば、マラノースを後にして、200ドルの入園料をマサイマラへ別途払った上で足を延ばす必要があります。
逆に言うと、ヌーがいない時期であれば、わざわざ混雑しているマサイマラに足を延ばす必要はないとも言えます。ちなみに経営上の観点から、このネプチューン・マラリアンタ・ラグジュアリー・キャンプはマラノースの枠組みから抜けてマラ川の向こうに自分自身の保護区を設置したという連絡を最近もらいました。たき火やウォーキングサファリは吊り橋を渡った向こうの保護区で行いつつ、ゲームドライブはマサイマラに出かけて行っているみたいです。近々視察に行って、最新の楽しみ方を調べてこようと思っています。
Was there on 2016-11-24