イギリス系のサファリ会社が二十年も前にマサイマラにオープンさせたオロナナ。ちょっと流域がずれてはいるものの毎年170万頭ものヌーが命をかけて渡るマラ川に面するどころか京都の鴨川のように川面に張り出したデッキさえあるのは、規制のゆるかった古き良き時代の賜物だと思われます。今、どんな金持ちが同様の建築物を申請したとしても政府か環境団体が簡単には許可しないであろうことは容易に想像できるのです。
川渡りの舞台.
ケニアのみならずアフリカを代表する自然公園と呼んでも異論はあるはずのないマサイマラ。その中央部を北から南に向けて流れるマラ川では毎年七月ともなると百万頭を超えるヌーが押し寄せ、命がけの渡河を試みることは広く知られています。
床面積は最大級.
クイーンサイズのベッド二基を横に置いてもまだライティングデスクと浴室のスペースが十分にある「オロナナ」の広々としたゲストルームは全棟がこのマラ川に沿って建てられています。部屋と部屋の距離もプライバシーを保てるように必要以上に取ってあるので、もし一日五回を超える自室とレストランとの往復移動を軽減させたい場合はチェックイン時に共有エリアに近い部屋を希望する必要があるほどです。
本当にオールインクルーシブ.
日本から22時間もかけてやってくるのですから、チェックインした後はゆったりのびのび過ごせることはこの宿が保証してくれます。なぜなら滞在中のお食事とドリンク(シャンパン除く)が部屋代に含まれているので財布を取り出すのは最終日のチェックアウトの時だけになるからです。巷にあふれるドリンクつきのプランは地元ビールとハウスワイン程度のことが多いですが、さらにオロナナの凄いところはジンや各種のウィスキー、ボトルに入った複数のラベルから選べるワイン類さえ自由に飲める点です。
加えて活動的で運動の好きなゲスト向けには一時間または三時間のロングコースともなるウォーキングサファリ等の無料アクティビティも用意されています。本当の意味での込み込みプランはオロナナだけに与えられる称号だと私は思っています。
川面でスパ.
有料ではありますがサファリの疲れを癒してくれるスパメニューも充実しています。トリートメントは敷地の最深部に建てられた特別テントで行われます。ベッドはカバの棲むマラ川を見下ろすようなロケーションにあり、南アで有名なアフリコロジーというブランドを使用しています。
地域への貢献大.
「オロナナ」は開業以来、近隣のマサイ族への支援にも取り組んできました。例えばギフトショップに並んでいる民芸品は付近の村から仕入れたものですし、またその村を無料で訪問することもできます。さらにホテルからの排水を処理する施設を自前で開発するなど環境保護への取り組みも知られていて、その結果として国内の自然保護団体からゴールドメダルを連続授与されています。この点からも贅沢さに加えて貴重な自然環境への配慮も兼ね備えるエコリゾートの代表とも言えるのです。
まとめ.
マサイマラでも一二を争うくらい充実したオールインクルーシブプランを誇るだけでなく、毎年7月からはヌーの川渡りも狙える立地も兼ね備えるのですから文句のつけどころがありません。繁忙期はひとり一泊9万円を越える代金だけがネックとなり得ますが、雨季は極端に割安プランが利用できるようになるのでコスパの良い宿として今後は年間を通して宣伝していきたいと思っています。まだ未発表ではありますが2018年の3月から三ヶ月は抜本的改築を目的に完全閉館するそうなので、最安値の11月に滑り込むように泊まってみるか、それを逃した場合は次に安い1月か2月に再調整することをお勧めいたします。
Was there on 2016-11-22