アフリカに広がるサバンナ生態系の中で頂点に立っているのはライオンを含む大型ネコ科です。彼らに短期間でそれほど苦労をすることなく出会いたいならケニア、特にマサイマラがお勧めであることが今回の視察で実証できました。
暖雨季の始まり.
ケニア南部のマサイマラでは10月にもなるとあれだけ押し寄せていたヌーの姿もそれほど見かけなくなります。雨が数日または数週間続いたりするとタンザニアへ向けて南進していた群れがちょっと戻ってきたりはしますが、全体的には家族単位あるいは多数の家族で構成される大軍がセレンゲティへ向かって行進を始めるのがこの時期です。私が訪れる数日前にどこかで大雨があったらしく、マラ川はごうごうと音を立てて南へ流れていました。一体のカバの溺死体から流れの速さが実感を伴って伝わってきました。
体格ナンバーワン.
マサイマラの東西にまたがって過ごした今回の三日間サファリの間に出会った大型肉食動物を大きさの準に挙げていきます。雄の成獣で150から180キロになるライオンはその体の大きさ(とパワー)のおかげで敵は無く、他の動物の縄張りなど無視して闊歩します。今回はハネムーンの為に群れを離れて遠出をしていたカップルを含めてのべ六回の出会いがありました。場所はアシュニル付近、マラセレナが建つ丘のすぐ下、サンドリバー付近など様々でした。出会った際の構成員は単独の雄、二頭の兄弟、上述のカップル、オトナメスと子供の群れ、など多彩でした。
ハイエナを見直そう.
体重に注目すると雌のブチハイエナのほうがヒョウよりも重いことに驚かされます。ハイエナの社会は雌がリーダーで体格も優るなど、どの動物とも異なっていて興味深いです。この日は前日の雨によって出現した道路脇の水たまりでくつろいでいたハイエナ、そこにイボイノシシが乱入するというコミカルなシーンに遭遇しました。
ヒョウ.
姿の美しさでは最上位に違いないですが体重は58キロとライオンの三分の一程度のヒョウ。今回は東マサイマラ、マラ川西岸、南東部と三度も会うことができました。樹上の日陰で寝そべっている場面が多いので全身を捉えることができた点で今回のサファリは異例でした。
チーター親子.
スピードに特化した為、模様は似ていますが体重はヒョウより軽いことは想像に難くないでしょう。個体数は少ない一方で昼行性であり、兄弟や親子など複数でいる時間が長いためにヒョウよりも出会いやすいと言えます。アリ塚のてっぺんに座って遠くを見晴らす行動もこっちから見つけやすい要因のひとつです。今回は二頭の赤ちゃんを連れたお母さん、別の場所では木陰で昼寝中の一頭に会えました。
一応イヌも.
ネコの仲間に押され気味ですが、一応食肉目イヌ科のメンバーも細々とサバンナに生息しています。サファリ中に見やすいのはセグロジャッカル。今回は巣穴の近くで子供が遊んでいる様子を見られてラッキーでした。ジャッカルは体重が7キロ程度ですからイエネコと変わりませんね。ある夕方、ロッジに急ぐ途中でオオミミギツネの姿を薄暮の中に認めたのも幸運でした。キツネ達もイヌの親戚にあたります。
マサイマラ、永遠なれ.
以上のようにケニアでは複数の理由から人気のある動物に出会うのが他国よりも簡単です。でもそれは動物達へ与えるストレスが高いことをも意味します。先日、マサイマラの管理局から日没以降のサファリを一切禁止する通達が届きました。観光主導の自然保護も岐路を迎えているようです。
Was there on 2016-10-07